ドライバーなら誰もが一度は体験する「飛び石」によるフロントガラスの傷。
高速道路や一般道、さらには未舗装路でも、前方車両の跳ね上げた小石が愛車のガラスを直撃し、「パチン!」という音とともに小さな傷やヒビが生まれます。
一見小さな傷に見えても、放置していると後々大きな亀裂に発展したり、車検で不合格となるリスクも。
本記事では応急処置からプロによる修理、板金や塗装、中古車・保険・車検との関係まで、板金工場現場の視点をふまえ解説します。
目次
飛び石でできるフロントガラスの傷とは?

フロントガラスの飛び石被害による傷には、いくつかのパターンがあります。
- スターブレイク(星型)
- ブルズアイ(牛の目型)
- コンビネーションブレイク
- クラック(線状のヒビ)
- パーシャルブルズアイ
傷の形や大きさによって修理方法や対応の可否が分かれます。
多くの場合、傷が500円玉より小さく、かつガラス端から10cm以上離れていれば「修理」で対応できることが多いです。
しかし大きなヒビや端に近い傷は、「ガラス交換」が必要になることもあります。
傷を見つけたら放置しない!
まずやるべき応急処置
傷を発見したら、まずは以下の応急処置を行いましょう。
- 透明なテープ(セロハンテープなど)で傷部分をそっと覆う
セロハンテープを貼って置くだけでも傷が広がるのを防止できます。ただし、粘着性が高いテープだと、剥がす際に傷が広がってしまうため、通常のテープを使うようにしましょう。 - 指や物で触れない
ガラス片で怪我をしたり、触れた際に傷が広がったりしてしまう恐れがあります。
傷には触れないようにしましょう。 - 急激な温度変化(冷房直当てや直射日光)を避けてください
特に夏場の直射日光はフロントガラスの変形とともに傷が広がってしまう危険性が高いです。

走行中なら安全な場所に一旦停車し、必要なら写真を撮っておくと保険申請の際役立つこともあります。
応急処置はあくまで一時的な方法ですので、できるだけ早めに板金工場や専門店へ相談しましょう。
傷を放置するリスクと注意点
小さな傷をそのままにしてしまうのは非常に危険ですし、デメリットもあります。
- 振動や温度差、ワイパー動作などによりヒビが広がる
- 車検の際、運転席視界内の傷は不合格となることが多い
- 強度・安全性が著しく低下する可能性
- 傷が広がれば「修理」では対応できず、「ガラス交換」となり費用が増大
実際、板金・塗装工場には傷の放置によってガラス交換を余儀なくされた方が多く訪れます。
お話を聞くと「はじめは小さな傷だった」という方が多いです。
車検が通らなかったというお話もよく聞きます。
「小さな傷だから大丈夫」と思っていたら車検が通らず、結局修理することに。。。なんてことはよくあります。
早めに相談することで余計な心配をすることもなくなりますし、修理費用を抑えることができます!
フロントガラス修理の流れ
市販のリペアキットで応急修理は可能ですが、仕上がりや強度にバラつきが出ることも多いです。
プロの板金工場では、真空や圧力を駆使した専用機器で傷内部の空気を抜き、特殊な樹脂(レジン)を圧入して硬化させます。
この方法ならガラス本来の透明感と強度が復活しやすいです。
修理費用の目安
- リペア(修理):1万円~2万円程度
- ガラス交換:国産車8万円~15万円、外車や特殊ガラスはさらに高額の場合も
中古車では「ガラス修理歴」の有無が査定に影響するため、購入時・売却時とも傷や修理歴の確認がとても大切です。

中古車の部品を流用したフロントガラスの中古部品も流通していますが、あまりおすすめしません。
フロントガラスは言うまでもなく車両の全面部分の大きな面積を占める部分であり、上から落下物の影響も受けます。
そのため、長年使用されたガラスには目に見えない傷が多くついているため、耐久性が落ちている可能ですが高いです。
その上、品質を明確に判断することが困難なため、中古品の「ハズレ」を引くと、逆に費用が嵩んでしまうことになりかねません。
ガラス交換は新品で依頼するのが得策です!
修理と板金・塗装の関係
フロントガラスの修理や交換は、ボディの板金や塗装作業と同時に必要になるケースも珍しくありません。
事故や大きな衝撃による損傷の際は、板金・塗装によるボディ修復とあわせてガラス修理が一括対応できる板金工場に依頼するのがおすすめです。
見た目だけでなく、安全性と中古車の価値も守るためには、プロの技術による一連の対応が不可欠といえます。
逆に言うと、普段板金塗装の作業をしていない車検・整備がメインの工場ではガラスの修理が苦手、受け付けていない可能性があります。
工場選びの際には板金塗装の専門家がいるかどうかを判断基準にしましょう。
中古車の査定・売買とガラス修理
フロントガラスに傷や補修跡が残っていると、中古車買取時の査定に影響します。多くの販売店は板金工場による事前修理を経てから中古車を販売しており、オーナーも手放す前にガラス修理を済ませれば査定アップにつながる場合があります。

保険活用と車検との関係
「車両保険」が付いていれば、飛び石によるフロントガラス傷も補償対象になることが多いですが、免責金や翌年の等級ダウンなど詳細は事前確認が必要です。板金工場ではお客様の保険内容や条件に合わせた最適な修理・対応を案内しています。
また、フロントガラスの傷やヒビが運転席前にある場合、車検は基本的に不合格です。小さな傷でも検査官判断でNGとなることもあるので、早めの点検・修理を心がけましょう。
予防策と日常の注意点
飛び石を完全に防ぐことは難しいですが、被害を減らす運転習慣が有効です。
- 大型車や工事車両のすぐ後ろはできるだけ走らない
- 車間距離を十分に取る
- 砂利道では速度を落とす
- ガラス専用コーティングの活用で表面の保護と汚れ防止
こうした工夫で予防しつつ、もしものときは迷わず信頼できる板金工場に相談しましょう。
まとめ
飛び石によるフロントガラス傷は、安心・安全なカーライフの大敵。しかし適切な応急処置と早い段階での修理、そして板金・塗装工場のプロ技術を活用すれば、愛車の美観も安全性も中古車価値も守ることができます。車検や保険、査定といったさまざまな場面でもガラスの状態は重要。お困りの際は、ぜひ板金工場や専門スタッフにご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q. 市販のリペアキットで十分修理できますか?
A. 小さな傷なら一時的に補修可能ですが、プロ修理の方が仕上がり、強度、再発防止の点でおすすめです。
Q. 傷を放置するとどうなりますか?
A. 短期間でヒビが拡大し、ガラス交換しか選択肢がなくなる場合も。車検不合格や、自身・同乗者の安全も損なうことがあります。
Q. 修理と交換、どちらを選べばよい?
A. 傷の大きさ・位置・車種によって異なります。自己判断は避け、板金工場や専門ショップで点検・見積もりを受けてください。