若者のキャリア形成に自動車整備士をオススメします。
自動車整備士なら長年のキャリアを持った先輩たちをごぼう抜きして、短期間で高い評価を勝ち取ることも夢ではありません。
私がそう考える理由についてお話ししたいと思います。
結論から先にお話しすると下記の2つが大きな理由です。
- 資格を取ると強い
- 先進技術を学ぶと強い
詳しく説明します。
目次
資格を取ると強い
自動車業界には主に3つの働き方があります。
- 自動車整備士
- 鈑金塗装工
- 自動車販売員
この中で自動車整備士だけは有資格者が優遇されます。
鈑金塗装工と自動車販売員も有資格者が優遇されないとは言いませんが、自動車整備士ほどではありません。
しかも無資格でも働くことができて、働きながら資格を取ることも可能です。
世の中に資格は星の数ほどありますが、持っておいてもほとんど意味をなさない資格もあれば、資格を持っていないとその業界に就職さえできないという資格もあります。
(美容師や看護師などは一般的に無資格での就職がほぼ不可能です)
自動車整備士資格は持っていなくても自動車整備士として働くことが可能(同じ現場に有資格者がいることが前提)です。
しかも働きながら資格を取ることもでき、資格を取ると会社からの評価も上がります。
さらに言うと、整備士資格は段階的にステップアップしていくことで上位資格にしか出来ない業務やポジションを任されるようになります。
自動車整備工場は有資格者を一定数確保しておかなければ自動車整備業を営むことすら出来なくなるため、会社にとってなくてはならない存在になることも可能です。
- 無資格でも働くことが可能
- 資格を取ると優遇される
- 資格のステップアップが可能
自動車整備士は上記3つを兼ね備えている職業と言えます。
自動車整備士資格の種類
では自動車整備士の資格にはどんな種類があるのでしょうか。
簡単に説明します。
3級自動車整備士
自動車整備士が最初に取る資格です。3級を飛ばして一気に2級や1級を取ることは出来ません。
認定を受けている学校(高校や専門学校、職業訓練校など)を卒業することで資格を得ることが出来ます。
学校を卒業していなくても自動車整備業に1年間従事している実績があれば受験資格が得られます。
一定期間の講習と試験をパスすることで資格を取得できます。
無資格で自動車整備士として働きながら、会社の許可のもの講習と試験をパスできれば資格を得ることができるというのは大変魅力的です。
2級自動車整備士
3級自動車整備士を取得したのちに、さらに2年間の実務経験を経て2級自動車整備士にチャレンジできます。
2級自動車整備士資格を持つと、整備主任者になることが出来ます。
(運輸局への届出、整備主任者研修を修了している必要があります)
3級では整備主任者になることは出来ません。
整備主任者とは自動車整備業社が「認証工場」「指定工場」の認定を得るために必ず1名以上は選任する必要があります。
整備主任者がいないと自動車整備業を営むことが出来ません。
そのため整備主任者になることができる2級自動車整備士は会社にとっていなくてはならない存在です。
1級自動車整備士
自動車整備士の最高峰です。
自動車整備士の有資格者の内で1級も持っている割合はわずか4%ほどだそうです。
それほど難易度が高い資格です。
(大きな整備工場やディーラー、メーカーでない限りは1級を持っていることは非常に稀です。)
自動車検査員
自動車検査員とは、簡単に説明すると「車検ができる人」です。
自動車整備工場には「認証工場」と「指定工場」があります。
認証工場と指定工場の違いについては以前書きました。
自動車整備業の会社が自社の工場内で車検を行うためには指定工場の認証を受ける必要があり、その要件として自動車検査員が1人以上必要です。
自動車検査員がいないと工場内で車検を行うことは出来ません。
自動車検査員になるためには2級自動車整備士の資格を取った上で、整備主任者として1年以上の実務経験が必要です。(1級を取る必要はありません)
以上のように、自動車整備士の資格はいくつかの種類があり、段階的に上位の資格を取得することで業務内容にも違いが出てきます。
上位の資格を持っていると特別な役割を担うことも可能になるため、会社からも重宝されます。
(高い評価を得やすい!)
先進技術を学ぶと強い
皆さん特定整備や電子制御装置整備という言葉を聞いたことがありますか?
自動車業界に関わっていない限り、あまり聞かない言葉だと思いますので簡単に説明します。
電子制御装置整備とは
国土交通省のHPには以下のように記載されています。
自動車整備制度は、これまでのエンジンやブレーキなどを取り外して行う「分解整備」から、その範囲を取り外しを伴わなくとも装置の作動に影響を及ぼす整備又は改造等(電子制御装置整備)に拡大するとともに、対象装置として、自動運転レベル3 以上の自動運転を行う自動車に搭載される「自動運行装置」を追加し、その名称を「特定整備」に改め、新たな制度として令和2年4月からスタートします
つまり従来の自動車にはなかった先進技術を用いた装置類(自動ブレーキ装置や自動運転に関わる装置、センサー類)を整備することを「電子制御装置整備」と言います。
また、これまで分解整備と言われていた整備作業と電子制御装置整備を合わせたものを特定整備と呼ぶことになったという意味です。
今後は特定整備が当たり前の時代
特定整備制度は令和2年から既にスタートしています。
皆さんが普段目にする自動車のほとんどは自動ブレーキやセンサーなどの装備が備わっていると思います。
そういった装備が備わっている全ての自動車が特定整備の対象というわけではありません。(自動ブレーキ等の装備が備わっていても特定整備の対象に含まれない場合もある)
特定整備の対象になるかどうかは国土交通省のHPにて掲載されています。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_Target_vehicle.html
なぜ同じような装備なのに特定整備の対象と対象外とに分かれているのか疑問ですよね。
それは技術が「先」、制度が「後」になってしまったためです。
まず自動車メーカーが「先」に自動ブレーキなどの技術を開発し、自動車に搭載しました。
そういった先進技術を使用する自動車が増えてきたために、国交相が整備制度の変更を余儀なくされたという背景があります。(かなり乱暴な言い方をしています。すいません。)
そのため、今後発売される新型車は新しい整備制度に則った形で開発・生産されます。
つまり、それほど遠くない未来にはほとんどの車両が特定整備の対象になるということです。
車検や整備を行う上で特定整備の認証・知識・技術を持っていることは、整備工場を営む上で前提条件になってきます。
ベテラン整備士は特定整備が苦手
これは私はこれまで整備工場で働いてきた上で感じている個人的な感想でしかありません。
その旨、ご理解ください。
多くの自動車整備士はエンジンや足回りなどを整備する、いわゆる「機械いじり」が得意で好きだったため自動車整備士になっています。しかし特定整備の対象車両は「機械」ではなく「コンピューター」によって制御されている部分が多いため、これまで培った「機械いじり」の知識や技術が役に立たないことがあります。実際の整備作業の中には車両をPCに接続し、PC上の操作で作業を完了してしまうものさえあります。
ベテラン整備士の多くは「コンピューター」が苦手で、PCを使う時点で拒否反応を示すこともあります。
これからは特定整備が当たり前の時代に突入しているにも関わらず、ベテラン整備士の多くは特定整備が苦手という状況が生まれてしまっています。
(※あくまで個人的な感想です)
若手のチャンス到来!
上記のような状況が生まれているおかげで、自動車整備業界は「コンピュータ」が得意・好きな人材を求めています。
特にPC操作に長けている人材は整備工場で重宝されます。
また、PC操作が特に得意ではないという若い方も、これから学んで実践していく気持ちさえあればチャンスがあります。
例えば「これまでPCにほとんど触れてこなかった50代のベテラン整備士」が、PCを活用した電子整備の作業を覚えることは本当に困難です。「PCが得意ではないけれど20〜30代で伸び盛りの若手」が覚える方が極めて簡単です。
50代以上の方、特に自動車整備業界ではPCを触らずに仕事をしてきた人が多く、PC作業に拒否反応を起こします。作業内容に関係なく「PCを触ること自体が嫌」という人が多いです。加えて、50歳を過ぎてから新しいことを覚えるのは、若い人の何倍もの労力と時間を使います。
20〜30代の方は仕事だけでなく学生時代からPCやスマホに慣れ親しんだ人が多く、50代と比べて物覚えも早いため、新しい仕事を覚えるハードルが低いため、俄然有利です。
特定整備分野の仕事内容は今後も日進月歩、変化を続けると思われます。
しかも覚えなくても良い仕事ではなく、覚えないとこれまでと同じような車検・整備が行えない状況にあるため、会社側も何とか対応してもらおうと必死です。
以前の整備業界は脈々と受け継がれてきた「機械いじり」の能力がいかに優れているかが評価の基準でした。そのため、経験年数がものをいい、若手がベテランを追い抜くという構図が作られにくい状態でした。そういった年功序列が通用しない時代になっています。
ベテラン整備士が覚えられないような新しい分野の整備を習得することで、いくらでも評価が得られる時代に突入していると思います。
まとめ
整備士は無資格から挑戦でき、働きながら資格が取れる。しかもステップアップが可能です。
さらに特定整備制度のおかげで若手にチャンスが巡ってきています。
自動車整備業界が大きく変化していくこの時代だからこそ、その波に乗ることができれば自分のキャリアを大きく伸ばすチャンスに繋がるのではないかと思います。