おかげさまでお車の購入、特に軽自動車の購入に関してのお問い合わせが増えてきました。
その中でも「リセールバリュー」に関するお問い合わせが多いように感じます。
ご存知の方が多いと思いますが、リセールバリューとは「新車価格に対する売却時の価格」の割合のことです。
例えば200万円の新車を購入し、売却時に100万円で売れた場合
50万円 ÷ 100万円 = 0.5 (50%)
となりますのでリセールバリューは50%となります。
リセールバリューが高いほど、売却時に「得をする」ということです。
今回は軽自動車の購入から売却までの中で、リセールバリューを最大化するためのコツについて解説したいと思います。
目次
軽自動車購入時の選び方
リセールバリューを最大化するためには「どの車を買うか」「どのように買うか」が重要です。
そのための選び方、買い方のポイントを解説します。
人気メーカーと車種
「どの車を買うか」について考慮すべきはメーカーと車種です。
言わずもがな、リセールバリューを最大化するためには人気のあるメーカー、車種を選ぶ必要があります。
解説します。
人気のメーカー
現在、国内で販売されている軽自動車の主要メーカーは下記の8つです。
- トヨタ
- ホンダ
- ダイハツ
- スズキ
- 日産
- 三菱
- マツダ
- スバル
しかし、上記8メーカーの中で実際に軽自動車を生産しているメーカーは下記の5つだけです。
- ホンダ
- ダイハツ
- スズキ
- 日産
- 三菱(一部)
トヨタで販売している軽自動車はダイハツが作っていますし、マツダで販売している軽自動車はスズキが作っています。
トヨタやマツダ、スバル(および三菱の一部)では、ダイハツやスズキが生産している車種がOEM供給され、違う名前で販売されています。
OEMで生産、供給されている車種は人気が低い傾向にあります。
例えばスズキのハスラーとマツダのフレアクロスオーバーは元々は同じ車種ですが、圧倒的にハスラーの方が人気です。
なぜOEM車種の人気が低いのか、理由は明確ではありません。
「オリジナルではない」と言う印象や、購入後に受けるメーカーでのメンテナンスを考慮しているのだと考えられます。
(実際には性能の差やメンテナンスの差はないと考えています)
結論、軽自動車を買うならOEM供給されている車種は避けるべきなので、(軽自動車に限って言えば)上記5メーカーに絞って選ぶと良いでしょう。
人気車種
メーカー人気と車種の人気は別物です。
人気メーカーだからと言って全ての車種が人気とは限りません。
車種の絞り込みに当たっては「中古市場で需要が高く、高値で取引される車種」を選ぶと良いでしょう。
このコラムの最後に「人気車種」をまとめていますので「手っ取り早く人気車種を知りたい」と言う方はそちらをご覧ください。
ここでは人気車種の傾向を解説します。
人気のある車種には2つの傾向があります。
- SUVっぽい車種
- スライドドアの車種
正確に言うと軽自動車にはSUVは存在しないと(個人的には)思っているのですが、デザイン面でSUVっぽい車種は存在します。
スズキのハスラーやダイハツのタフトが代表的です。
昨今のアウトドアブームの影響もあり、普通車でもSUV人気が止まらず、軽自動車でもSUVのデザインやコンセプトを持った車種が人気傾向です。
もう一つ、スライドドアの車種も相変わらずの人気です。
室内スペースの広さやスライドドアによる使い勝手の良さが人気の理由でしょう。
グレードとオプションの選択
メーカー、車種を絞って「何を買うか」が決まったら、次は「どのように買うか」です。
将来の売却を見据えたグレードやオプションの選び方について説明します。
オプションの種類
オプションには大きく3つの種類があります。
- メーカーオプション
- ディーラーオプション
- 社外品
メーカーオプションとはく車両の生産時に取り付けられるオプションのことです。
一旦生産された車両や中古車に後から取り付けることができません。
そのため人気のメーカーオプションが装備されていない車は人気が落ちる傾向にあります。
リセールバリューに直結する、定番のメーカーオプションの一覧を下記にまとめます。
(上位グレードでは標準装備になるものがほとんどです)
- 安全装備(自動ブレーキなど)全般
- エンジンスタートボタン
- パワーウィンドウ / 電動格納ミラー
- チルトシート / チルトステアリング
- 両側パワースライドドア(スライドドア車種のみ)
- LEDヘッドライト
- アルミホイール
- フォグランプ
- フルオートエアコン
- バックカメラ
これらのオプションは車種のグレードが上がると標準装備になる傾向がありますので、迷ったときは最上位グレードを選ぶのが簡単です。
上位グレードはその分価格も上がりますが、中古車市場でもその価格差は反映されていますし、何より人気があります。
メーカーオプションで迷ったら最上位グレード一択です。
ディーラーオプションは販売ディーラーで取り付けるオプションです。
中古車にも後から取り付けることが可能ですので、中古車市場での人気にあまり影響はありません。
逆に取り付けることで人気が下がるオプションもあるため注意が必要です。
人気が下がるオプションの代表例は「ステッカー」などの装飾品です。
ステッカーは不要になったら外すことも可能ですが、色むらなどの危険があります。
そのため中古車市場では装飾が多い車は敬遠され、人気が落ちてしまいます。
不要な装飾はできる限り控えた方が良いでしょう。
最後に社外品です。
メーカーやディーラーで提供されているオプション以外の他メーカー製のオプションです。
社外品はよほど高価なもの(カーナビ等)でない限りは中古車市場にほとんど影響しません。
それどころか純正品から社外品に交換していると価格が下がります。
例えば純正のホイールから「4本で10万円の社外製アルミホイール」に交換していると価格が下がることがほとんどです。
オプション購入でお金がかかり、売却時にはマイナス査定されて良いことなしです。
必要以上に社外品を取り付けるのはやめましょう。
人気のあるカラー(外装・内装)
外装色は車種によらずパールホワイトとブラックの人気が圧倒的です。
他の色を選ぶと中古車市場では人気が下がると思っていた方が良いです。
ただし、パールホワイトではなくただのホワイト(ソリッドホワイト)は例外です。
ソリッドホワイトは色褪せのリスクが非常に高いので選択から外しましょう。
(色褪せた軽トラックをイメージするとわかると思います)
内装色はブラック(もしくは濃い色)が人気です。汚れも目立たないため査定に響きにくいです。
しかしながら、車種によっては明るい色の内装しか用意されていないこともあるため、そこまで重要視する必要はありません。
「選べるなら濃い方を選ぶ」程度で大丈夫です。
使用中(売却前)の管理
車は購入した瞬間から使えば使うほど価値が下がっていきます。
できるだけ価値を保つには日常の使い方やメンテナンスに気を配る必要があります。それら使用・管理のポイントを解説します。
メンテナンス
まずはメンテナンスについてです。
メンテナンスで重要なことは定期点検、オイル交換、記録の保管の3つです。
それぞれ解説します。
定期点検
定期点検とは下記の3つです。
- 車検(24ヶ月点検)
- 12ヶ月点検
- 6ヶ月点検
車検は合格しないと公道で使用することができませんので当たり前ですが、12ヶ月点検と6ヶ月点検もしっかりと受けるべきです。
半年ごとに車両の状態を専門の整備士に点検してもらうことで車の状態を確認できます。
部品の劣化や摩耗によって交換が必要な場合はすぐに交換を依頼します。
放置することで他の箇所にも不具合や消耗が発生してしまうためです。
(例えばタイヤ交換の時期を無視してすり減ったタイヤでの運行を続けているとブレーキパッドの消耗が早くなります)
オイル交換
オイル交換は車を使う上で最も重要なメンテナンスです。
オイル交換をしていないとエンジンの稼働効率が下がるばかりか、最悪の場合エンジンが掛からなくなったり、発火する恐れさえあります。
最低でも半年ごとに必要になるので、半年ごとに点検を受け、ついでにオイル交換もお願いするのがオススメです。
ただし、走行距離が5,000kmを超えたら半年が経過していなくてもオイル交換することをオススメします。
整備記録の保管
定期点検の結果や内容は全て整備記録簿に記録されています。整備記録簿を適切に保管することは売却時の信頼性に繋がります。
逆に記録簿が無い場合は「過去に何かあったのかな?」と勘ぐられ、マイナス査定になってしまう可能性もあります。
中古車を仕入れる販売会社の立場を考えると、記録簿が全て残っているだけで安心して購入・仕入れることができるため、価格も落ちにくいです。
走行距離の管理
車両の査定を行う際に最も重要な2つの要素があります。
「年式」と「走行距離」です。年式は購入時点で決まってしまうためどうしようもありませんが、走行距離はある程度コントロールすることが可能です。
軽自動車の走行距離は3万キロ、5万キロ、10万キロを超えるごとにリセールバリューが大きく下がります。それを意識して使うだけでも効果があると思いますし、「走行距離」は使い方次第で大きく変わってきます。
無駄な走行を出来るだけ控えることはもちろんですが、例えば、自宅に2台以上の車がある場合には「使い倒す車」と「リセールに期待する車」を明確に分けて使う、遠方に出かける際は公共交通機関を使うなどのように工夫することで走行距離を減らすことができます。
外装・内装のケア
車両の外観と内装を美しく保つことも大事です。そのための日常的なケア方法と注意点を説明します。
外装のケア
定期的な洗車をすることが最も大事です。
「売却前に洗車すれば大丈夫でしょ?」と言う方がいますがとんでもありません。
通常のホコリ汚れや泥汚れならまだマシですが、厄介なのは鳥の糞です。鳥の糞はルーフなどの見えにくい箇所に付着することが多く、発見が遅れて数日放置してしまうと外装の塗装内部に浸透して破壊してしまいます。そうなると鈑金塗装の本格的な修理をしないと復旧できません。
「鳥の糞を発見するためだけになら洗車までしなくても」と思ったら大間違いです。鳥の糞は目に見えにくい透明なものもあったり、乾くと見えにくくなるものもあります。
定期的な洗車で取り除くようにしましょう。
また、ワックスやコーティングも効果的なものと逆効果のものがあります。施行・使用する場合はディーラーや整備工場などに相談すると良いでしょう。
(慣れていない人が手作業でワックスがけを行うことはオススメしません)
内装のケア
内装のケアは清掃です。洗車した際には内装の清掃も行いましょう。
内装にたまる埃や汚れは放置するとどんどん除去しにくくなりますので、早めに取り除くようにしましょう。
清掃時に海外製の強力な洗剤などを使うことはオススメしません。
プラスチックを溶かしたり、塗装を剥がしてしまうものがあります。
カー用品売り場にある内装専用のクリーナーを使うことをオススメします。
動物は乗せない方が良いです。どうしても乗せる必要がある場合はケージなどを使い、シートに直に触れないようにしましょう。
動物の毛や臭いは取り除くのが非常に難しく、大きなマイナス査定になってしまうためです。
出来れば匂いの強い芳香剤などを使うことも避けましょう。良い匂いかどうかは大きな個人差があり、自分にとって良い匂いでも他人にとってはそうでない場合が多いです。
売却時に匂いが残っていると査定でマイナスになる可能性があります。
(タバコはもっての外ですね)
売却時の注意点
実際に売却する時の重要なポイントと注意事項を解説します。
最適な売却タイミング
リセールバリューを最大化する上で最も重要なのがタイミングです。タイミング次第で査定価格が大きく変わります。
ポイントは「年式」と「走行距離」です。
年式
年式が落ちるごとに査定価格が下がるのは当たり前ですが、リセールバリューが大きく下がるタイミングが3つあります。
「3年」「5年」「10年」の3つです。
「3年」は新車で購入した軽自動車が最初の車検、「5年」は2回目の車検迎えるタイミングです。
「10年」は車検のタイミングでは無いのですが、中古車市場では販売寿命として捉えられています。
年式が10年落ち以上の中古車は販売することが難しく、かなり価格を下げないと販売できないため、市場価格も大きく下がってしまいます。
(10年を超えた場合は売らずに乗り続ける方がコスパが良いでしょう)
上記の「3年」「5年」「10年」をそれぞれ超えないように売却することでリセールバリューに効果があります。
走行距離
前述しましたが走行距離は3万キロ、5万キロ、10万キロを超えるごとにリセールバリューが大きく下がります。
年式と同様に、これらの走行距離を超える前に売却することでリセールバリューに効果があります。
(10万キロを超えた場合は売却せずに、故障するまで乗り続けた方がコスパが良いと思います)
売却方法の選択
売却方法には大きく3つあります。それぞれにメリットとデメリットがありますので比較して解説します。
下取り
下取りとは「車を新しく購入する際に使用中の車を売却する」ことです。
結論から言うと車を売却するなら下取りが最もオススメです。
下取りの場合、下取りする店舗は同時に車を購入してもらう訳ですから、「買取りだけ」の場合よりも高い金額で買い取ってもらえます。買取り分だけでなく購入して貰う分の利益も計算できるためです。
軽自動車から軽自動車に乗り換えで下取りをしてもらう場合、体感的には5万円〜10万円は上乗せしてもらえる気がします。(年式などの条件によります)
デメリットとしては車を購入する必要があるため、車が不要になる人は下取りして貰うことが不可能な点です。
買取り
買取りは単純に車を売却するだけの場合です。
買取りをする店舗側は買い取った車を(修理、メンテナンスなどの後に)中古車として販売します。
その時の利益から逆算して買取金額を決める訳です。
下取りとは異なり、買取り分の利益しか見込めない(購入して貰う分の利益はない)ため、下取りと比べると査定金額は下がります。
個人売買
個人売買は諸刃の剣です。メリットも大きいですがデメリットも大きいためオススメしません。
個人から個人に売却する場合はいわゆる「卸し価格」ではなく「小売り価格」で売却することも可能なため、販売店や買取店よりも高い金額での売却が可能です。
ただし、専門知識がないために相手に丸め込まれ、逆に損をしてしまうこともあります。
また、売却後にクレームになり返金やサービスを求められることもあります。
(売却後に高額な修理費用を請求されたケースもあります)
個人では対応できないようなケースも起こり得ますので、個人への売却はオススメしません。
個人へ売却する場合は利益や手間は度外視しましょう。
売却前の準備
売却時に少しでもリセールバリューを高くするための準備について説明します。
洗車と清掃
査定する側も人間ですので、汚れている車と綺麗な車では綺麗な方が価格に好影響です。
また、紛らわしい汚れが付着していると「傷」がついていると勘違いされてしまう恐れもあります。
査定前には洗車と清掃をしましょう。
必要書類の準備
査定に必要な書類を準備しましょう。軽自動車の場合は2つ「車検証」と「点検整備記録簿」です。
車検証がなければ査定はしてもらえません。前述したように記録簿が備わっていると査定に好影響です。査定前に揃えておきましょう。
点検やメンテナンス
「売却や査定の前に修理、メンテナンス、車検などの点検を受けておいた方が良いの?」と聞かれることがたまにありますが、答えはNOです。
修理、メンテナンス、点検には費用がかかります。それらによって査定額が上がることもあるかもしれませんが、費用をペイできることはありません。
費用をかけてまで準備する必要はありません。
軽自動車リセールバリューランキング
リセールバリューの高い車種のランキングを紹介します。(ランキングは個人調べです)
年式と走行距離で2つのランキングを紹介します。
3年落ち・走行3万km以内
年式が3年以内、走行距離が3万キロ以内のリセールバリューランキングTOP5です。
1位:ハスラー(スズキ)
2位:ジムニー(スズキ)
3位:ムーヴキャンバス(ダイハツ)
4位:N -BOXカスタム(ホンダ)
5位:タフト(ダイハツ)
SUV系が3車種、スライドドアが2車種ランクインしているのが印象的です。
ジムニーは燃費の面でコスパが良いとは言えない車ですが、リセールバリューは高いです。
それを抑えての1位がハスラーだったのは意外ですが、それほど人気が高いと言うことでしょう。
5年落ち・走行5万km以内
年式が5年以内、走行距離が5万キロ以内のリセールバリューランキングTOP5です。
1位:ジムニー(スズキ)
2位:N -BOXカスタム(ホンダ)
3位:タントカスタム(ダイハツ)
4位:ハスラー(スズキ)
5位:スペーシアギア(スズキ)
こちらもSUV系とスライドドアの車種がランキングを占める結果となりました。
比較的新し目の車種であるタフト、キャンバスが消え、根強い人気のタント、スペーシアがランクインしています。
年式が下がるとスライドドアに人気が集まる傾向があります。
ジムニーは年式が下がってもリセールバリューが落ちませんね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
購入時の車選びから日頃の使い方、売却時のポイントなどを気をつけることによってリセールバリューを高めることができます。
お読みいただいた方の参考になれば嬉しいです。
Auto Body Faith Garageではお車の購入、鈑金塗装の修理の他にもお車に関する様々なご相談を承ります。
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