自動車を所有している人ならバッテリー上がりで困った経験が一度はあるでしょう。
バッテリー上がりは少しの備えをしておけば、自分で対処することが可能です。
今回はその方法をお伝えします。
自分で対処するには経験と知識が必要です。自信がない方は最初からロードサービスを呼びましょう。
間違ってしまうと更に大きな故障を引き起こしたり、感電してしまう危険があります。
目次
バッテリーが上がるとどうなる
バッテリー上がりの経験が少ない方に向けて、まずはバッテリーが上がるとどんな不具合が起こりうるのかを解説します。
場合によっては非常に面倒なことになりかねません。
バッテリーが上がることで起こる不具合は、段階的に主に4つあります。
- アイドリングストップが効かなくなる
- エンジンがかからなくなる
- 車のドアが開かなくなる(キーレス車)
- 電装機器の不具合
順番に説明します。
アイドリングストップが効かなくなる
車メーカーにもよりますが、概ねバッテリー残量が20%を切るあたりから発生します。
アイドリングストップとは?
信号などで車の停車中にエンジンを一時的に切る機能です。
ガソリンなどのエンジンを節約し、燃費を向上させることを目的の機能ですが、最近の乗用車にはほとんど装備されています。
アイドリングストップの機能でエンジンが停止している間も電装機器(ナビ、エアコンなど)は動き続け、バッテリーを消費してしまいます。
そのため、バッテリー残量が少ない時にはアイドリングストップの機能を停止するように、メーカー側で設計されています。
当社にも「アイドリングストップが効かなくなった」とのことで車の修理を依頼されることがありますが、そのほとんどがバッテリーに起因するものです。
アイドリングストップが効かなくとも車の走行には問題ありませんが、燃費節約のための機能ですので使えるに越したことはありません。
エンジンがかからなくなる
バッテリー残量が10%を切ったあたりから出始める現象です。
実はエンジンをスタートさせる時にはそれなりの電圧が必要になるため、バッテリー残量が十分でないとエンジンがかからなくなります。
こうなると走行ができないため、その場で対処が必要になります。
エンジンがかからない原因はバッテリー以外にもあります。
代表的な例はリモコンキーの電池切れです。リモコン電池は割と簡単に交換が可能なので、予備の電池を一つくらいは常備しておくと良いでしょう。
また、リモコンの電池切れの状態であっても、リモコンをエンジンスタートボタンに接触させながらボタンを押すことでエンジンをスタトさせることができる場合があります。
詳しくは車種ごとの説明書を参照してください。
車のドアが開かなくなる(キーレス車)
さらにバッテリー残量が減るとリモコンキーで車のドアを開けることができなくなります。
リモコンキーでドアが開かなくても、リモコンに付属のアナログキー(骨カギ)で開けることは可能です。ただし、ドアが開かないほどにバッテリーが減っていると、エンジンもかからない可能性が高いので、対処が必要になるかと思います。
電装機器の不具合
これが最も厄介です。
バッテリー残量が完全にゼロの状態になると、電装機器に不具合が発生する可能性があります。
代表的な例はカーナビです。
カーナビはバッテリーの取り外しなどで電源が供給されなくなると、保存していた情報が無くなったり、起動時にパスワードを求められたり、面倒な事態に陥ることがあります。
他にもパワーウィンドウが自動で開かない(閉まらない)、ドアミラーが動かない等も考えられます。
最近の車種には電装部品が多数搭載されているため、バッテリーがゼロの状態で引き起こされる問題は増える一方です。
3つの対処法
いよいよ本題です。
バッテリー上がりを自分で対処する方法は3つあります。
- 近くの車にバッテリーをつなぐ
- バッテリーチャージャーを使う
- ロードサービスを依頼する
どちらも備品が必要になるので、順番に説明します。
ブースターケーブルをつなぐ
ブースターケーブルと言われるケーブル使って近くの車(救援車と呼びます)と自分の車のバッテリーをつなぎ、エンジンをかけることができます。
一旦エンジンがかかればケーブルを外してもエンジンは止まりませんので、そのまま30分〜1時間ほど走行すればバッテリーに蓄電して復旧できます。
(エンジンを切ってしまうと再スタートできなくなってしまいますのでご注意ください)
接続の方法は下図をご覧ください。
接続の前の注意点
- ケーブルに破損がないか確認する
- 救援車のエンジンは停止する
- 両車ともヘッドライトなど電気系統のスイッチをOFFにする
- 同じ電圧のバッテリーを使用する(乗用車は普通車、軽ともに12V)
- ギヤはパーキングに入れておく(MT車はニュートラル)
- ケーブルやバッテリーの金属部分には絶対に触らない
(絶縁性のゴム手袋があるとより安全です)
接続の順番と方法
- 故障車のプラス端子に赤いケーブルをつなげる
- 救援車のプラス端子に赤いケーブルをつなげる
- 救援車の-端子に黒いケーブルをつなげる
- 故障車のエンジンブロックなどの金属部かバッテリーの-端子に黒いケーブルをつなげる
接続後、救援車のエンジンかけて数分待ちます。
(この間に故障車のバッテリーが少々充電されます。)
数分後、故障車のエンジンをかけます。
もし、エンジンがかからない場合は救援車のエンジンをかけたまま、さらに5分ほど待ってみましょう。
それでもエンジンがかからない場合はバッテリー以外に原因がある可能性がありますので、ロードサービスを呼びましょう。
ジャンプスターターを使う
ジャンプスターターとは持ち運びができる小型のバッテリーのことです。
ジャンプスターターを接続することで一時的に故障車に電源を供給してエンジンをかけることが出来ます。
接続の注意点と接続方法はブースターケーブルと同様です。
- 故障車のプラス端子にジャンプスターターの赤いケーブルをつなげる
- 故障車の-端子にジャンプスターターの黒いケーブルをつなげる
- ジャンプスターターの電源をONにする
- 故障車のエンジンをかける
詳しい方法はジャンプスターターの説明書を必ず確認しましょう。
ロードサービスを依頼する
自分で対処する自信がない方、ケーブルなどの備品を持っていない方はロードサービスを依頼しましょう。
自動車保険に加入している場合、ロードサービスの特約が付帯していることがほとんどです。
バッテリー上がりの対応は無料のロードサービスに含まれますので、費用をかけることなく利用することが出来ます。
(回数制限や距離制限などが設けられている場合もあります)
ロードサービスを利用する場合は保険会社へ連絡をするか、ご自身が加入された保険代理店(整備工場や車販売店など)に連絡をしましょう。
ちなみに、主だった自動車保険会社のロードサービス連絡先を掲載しておきます。
- 東京海上日動:0120-119-110
- あいおいニッセイ同和損保:0120-024-024
- 損保ジャパン:0120-365-110
- 三井住友海上:0120-096-991
- 共栄火災:0120-044-787
- ソニー損保:0120-101-789
- アクサダイレクト:0120-699-644
- イーデザイン損保:0120-049-095
- チューリッヒ:0120-860-001
防止するために
そもそもバッテリー上がりはなぜ起きてしまうのでしょうか。
「ヘッドライトやルームランプが点灯しっぱなし」「バッテリーが劣化している」など、原因は様々考えられますが、中でも「長期間、車のエンジンをかけていない」ことが原因になっていることが多いです。
エンジンをかけている間はバッテリーが充電されますが、エンジンをかけないと充電されないどころか、自然放電によって残量が減っていきますし、バッテリーの劣化にもつながります。
新車で購入した軽自動車を1ヶ月ほど動かさずにいたら、バッテリー上がりになってしまったばかりか、バッテリーが劣化してしまい交換が必要になったというケースもありました。
週一回は稼働
自然放電によるバッテリー上がりを防ぐために、普段は動かさない車であっても、週1回程度はエンジンをかける(30分間)ようにしましょう。可能であれば走行した方がより効果的に充電できます。
例え新車、もしくは新品のバッテリーであっても、エンジンをかけてバッテリーにも適度な負荷をかけないと、あっという間に劣化してしまいます。
「動かさない」は厳禁です!
車検時の確認
頻繁にバッテリー上がりを起こしてしまう場合はバッテリー自体が劣化している可能性があります。
バッテリーの劣化は目で見ても分かりませんので、専用のバッテリーチェッカーを使用して性能チェックをする必要があります。
バッテリーチェッカーは自動車整備工場、修理工場、鈑金工場などの自動車に関わる会社であればどこでも持っています。
とは言え、自動車の工場なんて頻繁に行くものでもないと思いますので、せめて車検時に確認をお願いしましょう。
「次の車検までバッテリー交換しなくても大丈夫ですか?」と聞けば、今すぐ交換する必要がなくても何ヶ月後くらいに交換が必要か教えてくれると思います。
まとめ
以上、バッテリー上がりの対処法について解説しました。
当社でもバッテリー上がりにより故障した車の修理を依頼されることが多くあり、それだけお困りの方がいらっしゃるのだと感じております。
この記事を読んでいただいた方に、少しでもお役に立つことができれば嬉しいです。
当社では鈑金塗装の他にも車の修理屋カスタマイズ、部品の取り付け、車の販売なども承っています。
お車に関わることでしたら何でもご相談ください。